プロの目線を公開〜正確な見積もりと安全な工事のために〜
「とりあえず現地調査しますね。」
そう言われて立ち会ってみたけど、何を見てるのか正直よくわからない…。
そんな経験はありませんか?
内装解体工事における“現地調査”は、正確な見積もり・安全な施工・トラブル防止のすべての土台です。
そしてプロの目線は、単なる広さやレイアウトだけではありません。
今回は、解体業者が現地調査で何を見ているのか?
そのチェックポイントを“プロの視点”で徹底解説します。
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【現地調査で見るべき10のポイント】
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① 現場の面積・構造・間取り
• 壁・天井・床の素材と構造(石膏ボード、軽鉄、木材など)
• 間仕切りの数・仕上げの種類(クロス、塗装、タイルなど)
• 面積と高さの測定(天井高によって足場の有無が変わる)
→ 解体範囲と作業量、必要人員を見極める土台
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② 設備・インフラの有無と配置
• 空調機・給排水・電気・ガスなどの設備はどこにあるか?
• それらの撤去が可能か/誰が所有しているか(オーナー?借主?)
• 撤去には資格・分離発注が必要な設備か?
→ 追加費用の要否、資格者の手配、撤去範囲の判断材料
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③ 解体対象外の構造物・共用部
• 耐火壁・界壁・躯体・構造部材の確認(壊してはいけない部分)
• エレベーター、共用廊下、階段などの共有スペースへの影響
→ 施工範囲の明確化と、安全対策・管理規約対応
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④ 廃材搬出経路と動線
• 搬出ルートはどこか?
• 階段か?エレベーターは使えるか?養生が必要か?
• 搬出用トラックはどこに停められるか?
→ 人力か機械かの判断、養生費、作業時間に直結する重要項目
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⑤ 騒音・振動の制限があるか?
• 隣接テナントや住居との距離、営業・診療・居住の有無
• 管理会社の工事時間制限、静音対応の要否
→ 工法選定や夜間対応の判断材料
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⑥ 建物の築年数とアスベストのリスク
• 築30年以上ならアスベスト含有建材の可能性あり
• 石綿含有の疑いがある部材(天井材、接着剤、断熱材など)
→ 調査・報告・届出の必要性を判断、費用にも影響
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⑦ 養生の範囲と方法
• 共用部の床・壁・エレベーターの素材(タイル、金属、塗装)
• 養生の難易度・範囲の見積もり
• 吸音シート、防音パネルなどの必要性もここで判断
→ 養生費用と近隣対応のプランニングに直結
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⑧ 作業時間帯・ビルの規約
• 工事可能時間(平日9:00〜17:00?夜間可?)
• 廃材搬出の時間制限、共用設備の利用ルールなど
→ 工期・スケジュールを正確に立てるための条件確認
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⑨ 既存の損傷・傷・汚れの有無
• 入居時からの状態(壁や床の劣化、設備の状態)
• 解体後の補修義務の有無を確認
→ 原状回復義務の判断と、貸主・借主間の交渉材料になる
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⑩ 契約条件とのすり合わせ(原状回復 or スケルトン)
• 賃貸借契約書の内容確認
• オーナー・管理会社が求める“引き渡し状態”の確認
→ 工事範囲と内容が“契約”と食い違わないようにするための最終チェック
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【現地調査は「見る」だけでなく「聞く」「話す」が大切】
プロの現地調査では、物理的な確認だけでなく、“すり合わせ”も重視しています。
• この設備は残しますか?
• 次のテナントはもう決まっていますか?
• 共有部は使っても大丈夫ですか?
など、現場・管理会社・施主の“意図”や“希望”を把握することで、あとから起こりがちなトラブルや追加費用の芽を摘んでおくのです。
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まとめ:「現地調査=信頼の第一歩」
現地調査は、見積もりのためだけの行為ではありません。
「きちんと現場を理解し、最適な提案をする」ための入口であり、信頼関係づくりの第一歩です。
丁寧に見てくれる業者=誠実な工事をしてくれる業者。
「何を見ているか」を知れば、業者選びの目も養われていきます。
「ただの調査」ではなく、「プロの目が光る瞬間」。
それが、現地調査です。