知られざる産廃処理の裏側
内装解体工事が終わったあと、床材や壁材、配線、什器…
それら“壊したあと”のものたちは、どこへ行くのだろう?
普段、あまり意識されることはありませんが、
実はこの“廃材の処理”こそが、内装解体において最も責任ある仕事のひとつです。
今回は、解体後に発生する産業廃棄物の処理の流れや、法的なルール、そして現場での取り組みをわかりやすくご紹介します。
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■ そもそも、内装解体で出る“廃材”ってどんなもの?
内装解体では、実にさまざまな素材が出ます。
【主な廃材の種類】
• 木くず(間仕切り、棚、床下地)
• 石膏ボード(壁・天井)
• 金属くず(軽鉄、配線、ダクト)
• プラスチック類(照明カバー、パネル)
• ガラス、陶器類(ミラー、洗面台など)
• 廃プラスチック(塩ビタイル、床材)
• 混合廃棄物(分別できない細かいゴミ)
• 特別管理産業廃棄物(アスベストなど)
一現場あたり数トン以上の廃材が出ることも珍しくありません。
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■ 廃材処理の流れ:こうして解体後のゴミは運ばれていく
① 現場での分別作業
• 解体直後から、職人が素材ごとに「その場で分別」していきます。
• たとえば:ボードはボード、木は木、金属は金属。
② 積み込み・運搬
• トラックに積み込む際も、廃棄物の種類ごとに仕分けして運び出します。
• 許可を持つ収集運搬業者が対応。
③ 中間処理施設へ
• 廃材はまず中間処理施設(圧縮・破砕・選別場)に運ばれます。
• ここでさらに選別し、再利用可能な素材はリサイクルへ。
④ 最終処分または再資源化
• 再資源化(木材チップ、金属リサイクル)されるものも多く、
• 最終的に埋め立て・焼却処理されるのは全体の一部のみ。
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■ 知っておきたい法律・制度:「マニフェスト制度」とは?
内装解体工事で出る廃材は、「産業廃棄物」として法的に管理」されています。
その中でも重要なのが【マニフェスト制度】です。
【マニフェストとは?】
産業廃棄物が「誰の手で、どこへ、どう運ばれて、どう処理されたか」を記録・追跡する台帳のこと。
業者はこれをきちんと記録・保管する義務があります。
【目的】
• 不法投棄の防止
• 適正処理の証明
• 発注者(施主)も責任を問われる可能性あり
→ マニフェストを発行しない業者は要注意。信頼性に大きく関わります。
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■ 実は、再利用されているものも多い
意外に知られていませんが、内装解体で出た廃材の中には再利用されているものも少なくありません。
【例】
• 石膏ボード → セメント原料
• 木材 → バイオマス燃料や合板チップ
• 金属 → 製鋼原料として再利用
• プラスチック類 → 燃料代替や再資源化
環境意識の高まりにより、「解体=廃棄」ではなく「循環」へとシフトしています。
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■ まとめ:「壊したあと」をどう扱うかで、その会社の姿勢が見える
「壊すだけで終わり」ではなく、
そのあとに出るものを“どう扱うか”こそが、解体業者の姿勢や責任を表す部分です。
• 適切な分別をしているか
• マニフェストを発行しているか
• 不法投棄のないルートを使っているか
• 廃材の再利用・リサイクルにも取り組んでいるか
依頼者としても、“壊したあとのこと”まで考えてくれる業者を選ぶことが大切です。
それが、安心・信頼・そして環境への配慮にもつながります。