内装解体で気をつけたい5つのポイント
内装解体は、ただ「壊す」だけの作業ではありません。
見えないところで法令や近隣への配慮が求められる、とてもデリケートな工事です。
とくに初めて内装解体を依頼する方にとっては、何に気をつければいいのか分からず、不安を感じる場面も多いでしょう。
そこで今回は、現場で実際に起きやすいトラブルの例と、それを未然に防ぐための「5つのポイント」をご紹介します。
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【1】契約内容を必ず確認!「原状回復」と「スケルトン」の違いに注意
テナント契約時の取り決めで、どこまで撤去する必要があるのかが明確に決まっています。
しかし、その理解が曖昧なまま工事を進めてしまい、オーナーと認識がズレるトラブルが少なくありません。
対策:
• 賃貸借契約書の「原状回復」条項を事前に確認
• 「スケルトン渡し」などの表現の意味も業者と一緒に解釈する
• オーナーに「この状態で良いか」確認の上で着工する
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【2】近隣への配慮を忘れずに!騒音・振動・ホコリの苦情が多発
マンションやビル内のテナントでは、作業時の騒音・粉じん・振動が、他のテナントや住民に与える影響は非常に大きいです。
中には、苦情が原因で工事中断・損害賠償トラブルに発展した例もあります。
対策:
• 騒音や粉じんを抑える工法(手壊しなど)を選ぶ
• 工事前に近隣へ「事前挨拶・工期説明」を行う
• 養生・防音・防塵の徹底
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【3】残置物の放置に注意!「誰のものか分からない」がトラブルに
店舗やオフィスに残された機器・什器・在庫などを「誰が処分するのか」曖昧なままだと、勝手に処分してトラブルになる可能性があります。
対策:
• 契約者・オーナーの間で所有権の確認を行う
• 明確な「残置物リスト」を作成
• 解体前に持ち主と処分の同意を得ておく
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【4】アスベストや有害物質の見落としに要注意!
古い建物の場合、アスベスト(石綿)やPCBなどの有害物質が使われていることがあります。
知らずに解体してしまうと、法令違反や健康被害、追加費用の発生など大きなリスクに。
対策:
• 築年数や建材の種類を調査する
• 必要に応じてアスベスト含有調査を実施
• 許可を持つ専門業者に依頼する
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【5】「安すぎる見積もり」に潜むリスク
相見積もりを取った際、極端に安い業者に目が行きがちですが、実はそれが後からの追加請求や法令違反の原因になることも。
よくあるリスク:
• 廃材処分が不法投棄
• 養生や近隣対策を行わない
• 着工後に「これは別料金です」と言われる
対策:
• 見積もりに「何が含まれていて、何が別途か」明記されているか確認
• 資格・許可・施工実績をチェック
• 丁寧に説明してくれる業者を選ぶ
【内装解体のトラブル例】
トラブル例1:
「スケルトンだと思っていたのに、追加工事を求められた」
退去前に原状回復の見積もりを依頼し、壁と床だけを撤去して完了。
ところが、引き渡し時にビルオーナーから「天井裏のダクトも全部撤去しないとダメ」と言われ、追加で数十万円の工事が必要に。
原因: 契約書に「スケルトン渡し」としか書かれておらず、範囲の明確な取り決めがなかった。
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トラブル例2:
「近隣テナントからの苦情で工事が中断」
駅前ビルの2階にある飲食店を昼間に解体したところ、上階のエステ店から「振動と騒音で施術にならない」とクレームが入り、ビル管理会社が工事の中断を命じた。
原因: 近隣への事前説明・工事の告知をしておらず、防音・防振の配慮も不十分だった。
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トラブル例3:
「厨房機器を勝手に処分してトラブルに」
残っていた冷蔵庫や製氷機を残置物として解体業者が撤去・処分。
しかし後日、別の業者が「これ、買い取りに来る予定だったのに」と抗議。
依頼主と買主の間で連携不足が発覚し、損害賠償に。
原因: 所有権の確認が不十分で、残置物のリストもなかった。
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トラブル例4:
「アスベストを含む天井材を誤って撤去」
築30年以上のビルで天井ボードを撤去した後、処分場から「アスベスト含有の疑いあり」との連絡。
調査の結果、撤去・処分ともに法令違反となり、罰則と再処理の費用が発生。
原因: 着工前に建材の調査をせず、アスベストの可能性を見落としていた。
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トラブル例5:
「見積もりには含まれていなかった“追加請求”が発生」
格安業者に依頼して着工したが、工事中に「このダクトは追加」「グリストラップは別料金」と、当初の見積もりに含まれていない作業で総額が倍以上に。
原因: 見積書がざっくりしていて、作業範囲の説明も不十分だった。
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■ まとめ:内装解体は“準備と確認”がすべてを左右する
解体工事はただの作業ではなく、周囲との関係や契約条件、法律の網の中で行うプロジェクトです。
事前の確認と配慮がしっかりしていれば、工事もスムーズに進み、トラブルも起きにくくなります。
初めてでも大丈夫。
信頼できるパートナー(業者)と一緒に進めれば、安心して新しい一歩を踏み出せます。